奈良・林神社の饅頭祭と復刻奈良饅頭

饅頭祭は毎年4月19日
今回ご紹介させていただくのは、近鉄奈良駅のそばにある林神社で行われる饅頭祭です。奈良市の林神社は我が国で唯一の饅頭(まんじゅう)の社です。室町時代・日本に初めて饅頭の作り方を伝えたとされる中国の僧侶「林浄因命(りん・じょういん)のみこと」が祀られています。


饅頭祭は菓祖神・「林浄因」の命日にあたる毎年4月19日に、その功績を偲び開催されています。地元奈良・大阪・京都をはじめとした菓業界代表の方々が参列し、全国からたくさんの饅頭が奉納され業界の繁栄を祈念する神賑行事です。
古文献から再現 復刻奈良饅頭
この日だけ特別に復刻奈良饅頭が販売されると聞いて早速購入させてもらいました。
紅粉で一点を打った白の薯蕷饅頭。江戸時代の古文献から当時の奈良饅頭を再現したものだそうです。奈良饅頭は、初めて小豆餡を饅頭の中身として作られたお饅頭と言われています。薄皮に小豆あんが包まれたシンプルなお饅頭。皮にどうやら甘酒のようなものが入っていたと文献から類推できるようです。

これがなんと、県内の名店「満春堂」、「吉方庵」、「千珠庵きく川」、「千代の舎 竹村」の4店がそれぞれの復刻奈良饅頭を販売するという企画。紅の差し具合とか饅頭の皮の風味、こし餡の違いなど食べ比べの楽しみも。
今回は「千代の舎 竹村」さん謹製の奈良饅頭をいただきました。こし餡の控えめな甘さかとても美味しかったです。蒸し饅頭のもつむっちりとした風味が絶妙でした。シンプルで美味しいって最高です。

現在の奈良饅頭 千代の舎竹村
奈良饅頭という商品は、現在「千代の舎 竹村」さんで楽しむことができます。蒸し饅頭だったのが、今は焼き饅頭に。これには「せっかく美味しいのだから、日持ちしてもっとたくさんの方々に食べてもらいたい。」という素敵なエピソードがあります。皮がしっかり厚めで香ばしくておいしいです!因みに白餡と黒餡の2種類。鹿の印は白餡です。


作り方や味は「焼印もあんも林さんの教えのままに」という逸品。300年以上も変わらない、きっとこれからも続いていく絶品和菓子です。千代の舎竹村さんは、奈良駅前東向商店街(商店街といっても観光客でたいそうな賑わいです。)にあり、間口も広く、とても感じの良いお店です。
饅頭祭は100人以上が集います
ひっそりとした神賑行事なのかと思いきや、参道には奈良の銘菓即売のテントが連なってます。縁日みたいな感じで鳥居をくぐった途端に楽しくなってきます。


復刻奈良饅頭の他にも奈良女子大学監修の古代スィーツの限定販売(数量限定)や、番茶を石臼で挽いて粉にし「きりこ」というあられを浮かべて飲むのが特徴の、中曽司茶の挽き茶のお茶席もあります。天気も良くてゆっくりと座れるので行列ができるほどの人気ぶりでした。
神事の後は誰でも参加できる千本杵餅つきできなこ餅の振る舞われます。もう大人も子供も外国人観光客の方もみんなウェルカムな感じが素晴らしかったです。


神社の周辺地図
漢國神社内 林神社 | |
HP | https://kangou-jinja.jp/manju/ |
アクセス | 近鉄奈良駅から奈良公園の反対側へ歩いて3分 JR奈良駅から歩いて15分くらい |
御菓子司 千代乃舎 竹村 | |
HP | https://chiyonoya-takemura.jp/ |
アクセス | 林神社から歩いて6~7分 近鉄奈良駅から東向商店街へ、歩いて3分 |
林神社と東京・塩瀬総本家の関係
因みに神棚正中は、東京・築地の「塩瀬総本家」さんです。 菓祖神林浄因が中国に帰った後も、彼の子孫は日本に残って饅頭屋を営み、それが現在の創業1349年 日本最古の御菓子所「塩瀬総本家」につながるとされます。



そんな塩瀬総本家と林浄因のお話は、公式HPで詳細が載ってます。↓
https://www.shiose.co.jp/pages/about-history
日本で唯一の饅頭神社。そして奈良からお饅頭が全国へ繋がっていったという壮大なロマンを感じさせていただいた1日でした。また来年も行きたいなぁ~。
最後まで読んでいただきありがとうございました。