京都伏見 十石舟の桜で駿河屋本店の花団子

花より団子、春になれば必ず耳にする慣用句ですがこれには元ネタがあります。

花よりも団子やありて帰る雁
江戸時代初期「犬子集」にある松永貞徳の俳諧です。
美しい桜の咲く春だというのに、雁は北へと帰って行く。花より好きな団子があるから、花に心ひかれることなく帰ってしまうのだろうか。という意味ですが、花と同等、否もしかしたらそれ以上に関心のある対象として、団子が登場しています。
花も団子も両方に趣きを感じる春のお団子は、最高の贅沢といえるんじゃないでしょうか。

三色団子は春の魅力に溢れてる!!

三色団子といえば1串に3っつ。のんびりと桜を眺めながら最後の1つをぐぃっと横へ引っこ抜くと、なんか爽快な気分です。そもそも花見の日は天気がいいのでこの上なく気持ちが良いです。

三色団子は、お花見だんごとも呼ばれます。美しいパステルカラーはだいたい「ピンク・白・緑」の3色ですが、この色にはそれぞれ意味があるのをご存知ですか?

1番初めはのピンク。初春の桜の色合いであり、元気な若さと春の穏やかな陽差しを思わせます。古来より厄払いの象徴とされ、解毒作用のあるクチナシで色付けされ、健やかな生活を祈願します。

白は、清潔さと純粋さを表す色として用いられています。その白い色彩には、冬の残雪や春の白い空を想わせ、併せて白酒の清らかさを連想させます。白酒もまたこの時期に飲むお酒のことで、心を清く保つという意味合いを持っています。

そして緑色の餅は、新緑の季節や草木の美しさを体現します。この色は、母子草やよもぎを使って作り出され、母と子の健康や、生命の再生を祈念するものとされています。

私が好きなのは、これは桜が咲く順番を表しているというお話。
ピンクを桜のつぼみに見立て、白は満開時の桜の花、緑は散った後の葉桜の様子だそうです。

伏見 駿河屋本店ってどんなお店?

今回訪れたお店は、NHKブラタモリ 東海道“五十七次”の旅でも紹介されていたお店です。

交差点の角で古い佇まいが目を引く伏見駿河屋本店
この日は土曜日、営業開始は10:00からなんですが、既に3組ほどのお客様が待ってらっしゃいました。店内へ入ると、開店してすぐだというのに感じの良い女性が笑顔で迎えてくれました。

練羊羹が有名なお店ですが、せっかくの桜の季節なので三色団子をいただきました。
こちらでは花団子として販売されています。あんこやみたらしがかかっていないシンプルな和菓子なので、お店ごとその真価が発揮されます。伏見駿河屋本店さんの花団子は、素朴な風味と適度な歯ごたえのもちもちとした質感、そして口の中で広がるほのかな甘味はが飽きることなく、だんごそのものの魅力を十分に味わうことができます。もちろん緑の団子にはよもぎの風味もしっかりと。

花団子の横にあった茶団子も1つ。伏見駿河屋では、毎日茶団子を販売しているみたいです。宇治の特選抹茶を使用したムチムチのお団子です。製菓用の抹茶ではなくて飲む用の抹茶を使っていて、抹茶感よりは飲みやすい?というかすっきりとした味は抜群。いい味出してますよ~

桜もちは、 桜の葉 が無くなり次第の終了という事で桜もちも購入。

京都に駿河屋さんはいくつかありますが、こちらのお店は江戸後期に「総本家駿河屋(今は閉業)」より分家独立され、駿河屋の製法を受け継ぎながら、独自発展してきた個人店舗なんだそう。

作りたてのみたらし団子を店頭で販売したり、京都市電を模った最中(Tシャツも売ってました)やプリンなんかも人気商品みたい。夏場はかき氷をされていたりで頑張ってらっしゃるお店です。

伏見十石舟で風情たっぷりの景色を満喫

京都の南、伏見というエリア。千本鳥居で有名な伏見稲荷や、桜と日本庭園で人気の醍醐寺など、観光名所が多くあります。桜港町の歴史をもつ「伏見」は豊臣秀吉がその基礎をつくりました。華やかな京都のまちをささえた交通・流通の要は水運。「伏水」と表記されていた程、質の高い伏流水に恵まれ、有名な日本酒の酒蔵もあるエリア。今も20軒ほどの蔵元が密集しています。

明治に入り、鉄道など陸路の整備とともに伏見港はその長い役割に幕を下ろしますが、かつて旅人を乗せて淀川で活躍した「十石舟」が復活。観光船として人気を呼び、まちを訪れる人々に伏見の歴史を伝えています。

かつては繁栄を極めた運河は、今は桜並木が美しいスポットとして人気です。
何より美しいのは水面に映る桜のリフレクション。流れがほとんどない東側は無風時は川面が鏡のようになり、美しい桜並木が映りこみます。また散り初めの頃には花筏が鑑賞でき、長く春を楽しめるエリアです。

もちろん十石舟から眺める桜も素敵なのですが、この運河沿いは歩いて散策できます。途中休息所もあり、ピクニックにも最適です。

営業時間と周辺地図

伏見駿河屋 本店
住所京都市伏見区下油掛町174
TEL075-611-0020
営業時間10:00~18:00
定休日月曜日・火曜日
Instagramhttps://www.instagram.com/fushimisurugaya/
HPhttps://www.kyoto-wel.com/shop/S81140/index.html
アクセス京阪電車 中書島駅から歩いて8分/伏見桃山駅から歩いて9分
近鉄 桃山御陵前駅から歩いて10分

三色団子は、春の風物詩として日本人に親しまれ、花見の季節には欠かせない存在です。その美しい色の組み合わせは、ただ美しいだけでなく、縁起の良い色とされています。古くから、三色団子は神様が喜ぶ色とされ、祭りや祝い事の際に供えられてきました。

三色の花見団子を見る度に、いつかの楽しいお花見が思い出されるのは、そんな神様からの素敵なプレゼントなのかもしれません。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。また、一緒に美味しい和菓子を楽しめたらいいなと思います。