仙台・「みちのくせんべい」 圧倒的な軽やかさと賣茶翁の暖簾に込められた意味
今回ご紹介するのは、宮城県仙台市の銘店。緑が綺麗な定禅寺通りの先にある、賣茶翁(ばいさおう)のお菓子「みち乃くせんべい(みちのくせんべい)」です。

仙台銘菓
みちのくせんべい
明治12年の創業から変わらぬ製法で季節の生菓子や干菓子を作り続ける「賣茶翁」は、仙台の方にはもちろん、全国の和菓子ファンをも魅了する老舗の名店です。仙台和菓子を語るのにこちらのお店は外せません。
公式HPはなし、オンラインや予約販売もなく、菓子の美味しさもさることながらその希少性も加わり、非常に喜ばれる逸品です。

「みちのくせんべい」は、ほどよい口どけのふやき煎餅です。例えるなら、甘いもなかみたいな感じです。東北地方のせんべいという事で、お米と醤油の“パリッ”とした食感を想像していたのですが、実際は全然違いました。
口の中に入れると、小さく音を立てながら“ほろり”と崩れていくんです。「みちのくせんべい」はもち米を原料とし、とろけるように軽やかな口どけ楽しめます。手作業で焼き上げたとてもやさしい歯ざわりです。これほどまでに口あたりが儚く、それでいて甘さが拡がるせんべい、初めて食べました……。

甘さの決めては、生地に砂糖がけ(引蜜加工)をしてあること。「みちのくせんべい」は、沖縄県・波照間島の黒糖と、徳島県の和三盆糖を素材にした蜜が隠し味のまろやかな甘味です。
この割合が絶妙で、その甘さと麩焼きの香ばしさが何とも言えない美味しさ。また、乾くまでの過程でできる細かな表面の模様も魅力です。さらに賞味期限が20日程と長いので、手土産にお勧めの一品です。
賣茶翁の暖簾にかかれた
「松風待履声」
宮城県仙台市青葉区春日町にある老舗和菓子屋「賣茶翁(ばいさおう)」。いったいどんなお店なのか気になります。全国的にも有名な定禅寺通りの先、ぽっつりとたたずむ古民家に小さな看板を携え、“隠れ家的和菓子店”とまで言われているのがこちらの入り口です。

店の入り口には、禅宗寺院で食事の時を告げる鳴り物「雲板」(うんぱん)を模した看板がありました。お店のロゴにも使われているものです。ひっそりと佇む外観は情緒たっぷり。ここが仙台メディアテークなどが並ぶ都会の一角であることが信じられません。

店先にかかる暖簾には「松風待履声」と書かれています。松の木を渡る風の音を待つ(楽しむ)という詩的な表現。「湯を沸かしてお待ちしています」という意味が隠されているようです。

店内には「仙窠」(せんか)と書かれた暖簾がありました。仙窠とは仙人のすみかのことであり、そして禅宗(黄檗宗)の僧侶「賣茶翁」が茶道具を入れて運ぶ籠にも「仙窠」と書かれてあったようです。

そうなんです。賣茶翁とは実在の人物であり、和菓子司「賣茶翁」の初代店主は、売茶翁の生き方に憧れ店名にしたようです。その初代の思いが随所に垣間見えるお店なのです。
実在した人物
煎茶の祖 賣茶翁ってこんな人

実在した人物である賣茶翁さん。江戸時代の禅僧で、50歳後半になって煎茶を売り歩き始め、茶を売り歩く翁(おきな)ということから「賣茶翁」と呼ばれるようになったと云われています。彼の売り方は独特で「価格は客の気持ち次第、無料でもOK」だったそう。市中に煎茶を広め、煎茶道中興の祖とも呼ばれ、相当な偉人(稀人)だったようですね~。

営業時間と周辺地図
| 御菓子司 賣茶翁 | |
| 住所 | 仙台市青葉区春日町3-13 |
| 営業時間 | 9:30~18:00 |
| 定休日 | 月曜日 |
| TEL | 022-214-2262 |
| アクセス | 仙台駅から ①市営地下鉄南北線 勾当台公園駅下車 仙台メディアテーク方面へ徒歩10分 ②市営バス 実沢営業所前行 春日町下車徒歩5分程 ③仙台駅から徒歩30分弱 定禅寺通りを 真っすぐ突き当り市民会館前交差点を右 |
| https://www.instagram.com/baisaou.1879 | |
| ※お支払いは現金のみです |
包装は仙台の手漉き和紙
柳生和紙
また「みちのくせんべい」の包装には、仙台の手漉き和紙 「柳生和紙」(やなぎうわし) が使われています。食べた後は、仙台の工芸品を見ながら楽しめる、まさに仙台ならではのお菓子です

仙台に行かないと購入できない「みちのくせんべい」。軽い口当たりと素朴な甘さの優しい和菓子、仙台を訪れた際には是非お愉しみください。
