京都 まるに抱き柏 栗餅 引き算の美学。丹波栗を躍らせて銀を寄せる。

本日いただいたのが栗餅です。丹波栗はその気候から、味も香りも良いものができるといわれています。だけど和菓子にとって栗の風味は甘みだけでなく実のもっているまとまり感、粘性も大事なのです。茶道と一緒に発達してきたため、栗ようかんでもくりがポロッと落ちるようでは使い物にならないのです。ちょっと写真では分かりづらいのですが、丹波栗のゴロっと感がそのまま残っています。崩れずに栗を食べているなぁという贅沢感を味わえます。しっとり濃厚な舌触りが楽しめます。

この栗がめちゃくちゃ美味しいです。むしろ味付けは塩のみ。ですが僅かに効かせた塩味が、丹波栗本来の甘味を際立たせています。そして餡と餅もバランスいいです。慎ましい餡の甘さと餅の口当たりが丹波栗との相性がとても良く、この素敵な栗の味を楽しんで欲しい、という一歩下がった素敵な美味しさです。

仕入れてらっしゃるのが、丹波のN.Groundさんの熟成丹波栗という事までは分かっているので、恐らく栗の品種も「銀寄」と思われます。数ある栗の品種の中でも正統派と呼ばれているもので、和洋菓子はもちろん京料理などにも使われ、品質の高さで知られる優良品種。きめが細かく食べ応えも充分。甘すぎず淡白すぎず、程よく上品な甘さとホクホクとした食感が特徴的です。銀寄栗は味・見た目ともに、和栗を代表する品種といわれています。この特徴が見事に表現されている栗餅です。

丸に抱き柏紋は店主さんのご実家の家紋だそうです。が…素晴らしい名前です。神を呼び出す拍手をイメージさせる抱き柏紋。さらに、柏の葉は新葉と入れ替わるまで古葉が失われないという習性から「代が途切れない」や(”葉” を “覇” に見立てて)覇を譲る、として「世代交代(跡目)で揉めない」といった縁起担ぎの意味も含んでいることも見逃せません。これも、出町ふたばや亀屋良長という京都の超有名店で修行したという若いお店ならではと思うのは、行間読み過ぎでしょうか。

2021年1月、阪急電車の西院駅近くにオープンした和菓子屋です。びっくりするほど何もない駅です。否、田舎という意味ではなくて、京都=観光地と勝手に思ってる私なんかはこれは極めて普通の街中だと、住んでる人が聞いたら怒られそうな感想を持ってしまいました。だけど店内は雰囲気があって、不思議と落ち着く空間でした。
まるに抱き柏 | |
住所 | 京都市右京区西院平町21 |
電話 | 075-748-9650 |
定休日 | 火曜日 |
https://www.instagram.com/maruni_dakigashiwa/ | |
アクセス | 阪急電車、嵐電西院駅下車 西大路四条交差点を南へ徒歩5分 |