谷中 喜久月 文豪に好かれた「あを梅 」で感じる変わらない文学風情
喜久月 あを梅・桜もち

日暮里駅から谷中霊園を抜けて寛永寺に向かう道すがら。上野から向かうなら、恩賜公園を進み東京芸大を抜けて言問(こととい)通りへ。大正6年創業、すでに90年谷中で丁寧な菓子を作り続けている、昔と変わらない佇まいのお店が喜久月さんです。

喜久月さんといえば、名高いのが「あを梅」。第13回全国菓子大博覧会で特等を受賞したお店を代表する和菓子です。が、…

あれっ⁉な~い!この日お店に伺ったのは14時過ぎ位。遅かったのか~と、思いながらも念のため聞いてみると…
「今、まさに作ってるところだからちょっとお時間いただければ」「もちろん待ちます!」
というわけで出来立てほやほやの柔フワな「あを梅」をいただく事ができました。お店の方には、柔らかすぎるからちょっと時間おいたほうがしっかりして美味しいよ、と教えていただきましたが待ちきれず即食べちゃいました。
ほんのり優しい緑色、まさに梅の実のような見た目ですが味の意外性にびっくり。味噌餡(西京味噌)なんですね~。甘さでごまかさないというか、文字通りいい塩梅とはこんな感じ。甘さと発酵風味がこれまでにない「なんだこれは?」感です。
抹茶風味の求肥がやわらかく、その中の味噌餡はまろやかですが濃厚感もある舌触りです。余韻を楽しめる美味しい和菓子でした。
桜もちは関東長命寺系。こし餡も丁寧な仕上がりで、桜の香りを壊さない絶妙な風合いです。

上野公園の五重塔。やはり木目が美しい

満開にはちょっと早かったのですが寒緋桜は咲いてました

もう優しさが滲み出ている格子戸です。

寛永寺は信号2つ目。すぐ近くです。
ノーベル賞作家、川端康成も来客の際に喜久月さんの和菓子をよく利用していたそうです。大阪出身の川端康成ですがこの台東区(かつては上野桜木町という地名)に住んでいたんですね。因みに川端と縁の深い幸田露伴も谷中に住んでおり、また、すぐ傍の東京芸術大学には高村光太郎もいました。寛永寺から続くこの辺り日本文学が醸し出す本物の日本風情といっても過言ではありません。戦災を免れ当時の趣きがそのまま残る佇まいと、素朴ながらも90年変わらない味。清麗なお店と美味しい和菓子で谷根千風情を満喫させて頂きました。
喜久月 | |
住所 | 東京都台東区谷中6丁目1-3 |
電話 | 03-3821-4192 |
営業時間 | 9:00~17:30 |
定休日 | 火曜日 |
HP | https://kikuzuki1917.com/ |