新春を祝う和菓子 “花びら餅” 京都・車折神社の玉垣の朱に映える。

歳の暮れから年始にかけてデパ地下をぶらぶらすると、たくさんのお店に同じ感じの和菓子が並んでいます。季節の行事ごとに食べられ続けている和菓子。ひな祭りの菱餅(ひしもち)や桜餅、お彼岸のぼたもちやおはぎ、端午の節句の柏餅、お月見の月見だんごなど。この時期に並んでいるのが、お正月にいただく和菓子「花びら餅」です。

なんだか、可愛いおばけが棒を咥えているようなフォルムと、うっすらとピンク色のふっくらとした風貌。お餅からニョキッと出ているのはゴボウなんですって。

今回いただいたのは、大阪・帝塚山の 福壽堂秀信 さんプロデュースの創作和菓子新ブランド
ふくのたね』さんの 花びら餅 。ここのこだわりはなんと言ってもサイズ感。通常よりも小さめがとても可愛らしいです。ういろうで包んでいる優しい食感。ほのかに透けて見えるその紅加減がとても上品です。柔らかくホクッとした食感のごぼうと自然な甘さの白餡。その豊かな香りが口に広がります。「白味噌+白あん」の豆豊かな優しい味噌風味でとても幸せな気持ちになりました。

さて、各和菓子屋さんが出している正月菓子の「花びら餅」。
まずはやわらかな白い餅に注目です。虎屋さんでは、京都は求肥、関東はお餅で包むというこだわり様です。そして白餡。そもそも白みそ自体が京都発祥らしく、有名な西京味噌はもちろん、各地方の例えば讃岐の白みそ等、味の決め手になるみそに白小豆餡の甘さが重なり、絶妙な風味を醸し出します。
そして最後がゴボウ。あく抜きの加減が難しいらしく、下茹での段階でごぼうのあくを抜き過ぎると風味がなくなり、甘いだけのゴボウになってしまうそうです。実は各店のこだわりと技術が集約された、それが新年を代表するとあって、お店の顔とも呼べるべき逸品が「花びら餅」なのです。

花びら餅は、平安時代の宮中で新年に行われていたという「歯固めの儀式」が由来とい説が一般的に広がっています。歯にという漢字を「齢(よわい)」の意味を持たせ、正月に堅いものを食べて歯の根を強くし、延命長寿を願う行事だったそうです。

そのお祝いの席で縁起の良い固いものとして出されていたのが、「菱葩餅(ひしはなびらもち)」という、梅の花びらをモチーフにした赤い餅と白い鏡餅。餅は望月(もちづき。満月)の「望」に通じ円満の象徴です。合わせて出されたものの一つが鮎。鮎は一年で成長する縁起のよい魚。塩漬けにして固くなった押し鮎というものだったみたい。新年の宮中参賀に出た公卿たちは、紅白の餅と一緒に出された固めの食材持ち帰って、京都ならではの白みそを使ってお雑煮を作ったそうです。

江戸時代にそれを模して広まったのが、のちの「花びら餅」の原形なのだそう。その後一般化して、円形に薄くのばした白い求肥(ぎゅうひ)に、ひし形の紅色をした求肥と白みそを使った白みそあん、蜜煮にしたごぼうを乗せて二つ折りにした形になりました。

ゴボウは押鮎、味噌あんは雑煮を表わしているんですね~。やわらかな羽二重餅の白に薄紅が透け、春の花の風情を表現しています。ごぼうは地中深く根をはることから家の安泰を願う意味が込められ、まさに正月菓子にぴったりですね

地元京都では、豪華な食べ比べも出来るようになっています。
こちらは京菓子協同組合青年部さんの[2024 迎春] 京の花びら餅 食べくらべサイト。いや~ラインアップがスゴ過ぎます。

https://www.tokusenkyoto.jp/products/detail.php?product_id=1975

大阪 ふくのたね さんのHPはこちら☟