お月見どろぼうさん、ようこそ。今宵は月が綺麗です。

かつて、子どもたちがお供え物をこっそりと盗み取ることが、中秋の名月の晩に限って許されていました。(地方によっては、畑の芋を勝手にとってもいいという所も。)
子どもは月からの使いとみなされ、お供え物が全部なくなる方が縁起がよいとか、お月見どろぼうが来た家には福が来る、盗まれた畑が豊作になる、などとされていたそうです。ちょっとびっくりするようなこの習わし。現在では「お月見どろぼうでーす」などと声をかけて、各家を回りお菓子をもらう風習が今でも愛知県などには残っているらしいです。また、商店街イベントとして小学生にお菓子などをあげたり、日本版ハロウィンのような形で実施されているみたいです。

今回の企画は神戸大丸店。29日まで各店が趣向を凝らした和菓子を販売した翌日に「お月見どろぼう」わくわく抽選会を開催するみたい。抽選会では、小学生以下のお子様限定でお一人様1回「ガラガラ抽選」にチャレンジ。地元兵庫県立神戸商業高等学校の生徒さんが、「お月見盛り上げ隊」として抽選会に参加してくれます。なんだか微笑ましいイベントですね。(写真は昨年イベントより)

もしかすると食べ物が少なかった時代、困っている人や弱い者を助ける意味が込められていたのかもしれません。娯楽の少ないころには、気づかれないように盗ることのスリル感を味わう体感イベント的な要素もあったのかも…。

きっと現代よりもずっと月も明るくて、子供たちが普段は出歩けない闇夜も、この十五夜だけは多少安心だったのかもしれません。月の憧れを思い出したり、地域で子供たちを見守ることにもつながる素敵な風習ですね。